こんにちは、Einarです。
Xでの投稿でもたびたび触れてきた「LoRA」。私のイラスト生成には、かなり前から欠かせない存在になっています。ただ、みなさんと話しているうちに、意外とAIに詳しい方でもLoRAについてあまり知らないことがあると気付きました。そして、それを確信に変えたのが、このサイトで次に書く内容をアンケートで募集したとき。初心者向けのLoRA講座が圧倒的多数で選ばれました。
そんなわけで、サイトの大幅リニューアル作業を経て、ようやく準備が整いました!
このチュートリアルでは、LoRAの基本と、それを使ってさらに素敵なイラストを作る方法を紹介していきます。さあ、楽しい旅の始まりです!
初めに #
ControlNetのチュートリアルと同じく、この記事でも特定のソフトウェアに依存した手順説明は行いません。というのも、使うソフトによって操作方法に微妙な違いがあるからです。
ここで私が使っているのはSD.Nextですが、もしA1111やComfyUIなどを使用している場合は、以下のガイドが参考になるでしょう。
LoRAってなに?(基本編) #
わかるよ、優花ちゃん!じゃあ、まずは基本から始めようね。皆さんも、AIくんにイラストを描かせたときに「イメージ通りにならない!」って思ったこと、ありませんか? たとえば、背景が全然違ったり、ポーズが変だったり、特定のキャラがちゃんと再現されなかったり…。こういうとき、普通なら諦めるしかないのでしょうか?(そんなわけないよね! だからこの記事があるんだよ!)
もともと、AIに新しい「概念」を覚えさせるには、モデルを一から再学習(再トレーニング)させる必要がありました。でも、Stable DiffusionやSDXLみたいな大規模モデルを作るには、ものすごく長い時間と超高性能なハードウェアが必要です。つまり、現実的じゃない。
そこで登場したのが、LoRA(Low-rank adaptation、低ランク適応)です。 難しい言葉は置いといて、簡単に言うと、モデル全体を作り直すことなく、新しい情報だけを学習させる仕組みなんです。魔法みたい? ううん、もう少しだけ現実的だよ! まやちゃんと優花ちゃんが、分かりやすく説明してくれるよ。
(イラストをクリックすると拡大版が見られます。このチュートリアルでは、他のインフォグラフィックも同様です!)
要するに、LoRAは**元のモデルと新たな学習結果の「差分」**を取り出して適用する技術です。この例だと、まやちゃんが優花ちゃんの制服姿を見て「スクール制服の着こなし方」を学んだイメージですね!
LoRAのメリットは、トレーニングが簡単になるだけじゃありません。 データサイズも小さいので、保存・配布・ダウンロードがとっても手軽です!
LoRAを使うと何ができるの? #
ちょっと大げさだけど、まやちゃん、あながち間違ってはいないよ! LoRAを使うと、本当にいろんなことができるようになります。どんなことかというと…
- 特定のアーティストの絵柄を再現する
- 作品のキャラクターを忠実に再現する
- 新しいポーズやシチュエーション(例:ラーメンを食べる)を表現する
- 特定の背景(学校、宇宙船など)を生成する
- 女の子たちに新しいかっこいい衣装を着せる!
- 特別なライティング効果を加える などなど
こうやってリストにすると、すごいボリュームだよね! でも、百聞は一見にしかず。実際に例を見てみましょう。
たとえば、まやちゃんのパワードスーツ「スーツA型」。これは私が作ったオリジナルなので、どのモデルにも学習されていません(正直、私自身もたまにデザインがぶれます…あっ)。 この状態で普通にプロンプトだけで生成すると、毎回違うスーツになってしまいます。 でも、まやちゃんだってシーンごとに新型スーツを支給されるわけじゃないもんね?
ここでLoRAの出番です! LoRAを使えば、世代ごとの違いをぐっと抑えて、安定したデザインにまとめることができます。
もうひとつ例を挙げましょう。 アニメ風に出てきそうな「学校の中庭」。これ、Stable DiffusionやSDXLだけでは正確に生成するのがめちゃくちゃ難しいんです。 でも、erimakiさんが作った専用LoRAを使うと…見てください!
すごいでしょ? 無理だったことが、嘘みたいに簡単にできるようになるんです。そして、ここで詠子さんが大事なポイントをまとめてくれました!
まとめると——
- LoRAは学習元のモデルと互換性のあるモデルで使う必要があります
- 各LoRAには**「強度」**の設定があり、どれだけ影響を与えるかを調整できます
- 複数のLoRAを同時に使うことも可能です
じゃあ、実際にどうやってLoRAを使うのか?
UIによって少し違いはありますが、**A1111系(ReForgeやSD.Nextなど)**では、プロンプトに <lora:xxxx:NN>
のような形で書き加えます。xxxx
がLoRAの名前、NN
が強度(0〜1の間)です。ComfyUI系を使っている場合は、専用ノードで設定します。 細かい手順はソフトによって異なるので、冒頭で紹介したガイドリンクを参考にしてくださいね。
また、多くのLoRAにはトリガーワードと呼ばれるキーワードが設定されています。 たとえば car
や、創作単語の cozybedroom
みたいなものです。(私のキャラLoRAは名前そのもの、たとえば hirukawamaya
をトリガーにしています)
トリガーワードがあるLoRAの場合、これをプロンプトに入れないと効果が発動しません。 通常、LoRA作者が説明欄に記載してくれているので、必ず確認しましょう。
最後に注意点! LoRAを使うと、VRAMの使用量が増えるうえに、生成速度が少しだけ遅くなります。 速度低下は大したことありませんが、VRAM不足は気をつけて。(もっとも、多くのUIではこれをうまく回避する設定が用意されているので、そこまで心配はいりません!)
LoRAの強度とミックス活用術 #
ここで重要な話を二つしておきましょう。ひとつはLoRAの強度(ストレングス)について、もうひとつは複数LoRAの併用についてです。
まずは強度の話から。 LoRAを使い始めると、これがほぼ必ず最初の壁になります。「強度」とは、LoRAが生成結果にどれくらい強く影響するかを示す数値です。
先ほども少し触れましたが、値は0(影響なし)から1(最大影響)まで設定できます。
…で、ここが落とし穴。「じゃあ強ければ強いほどいいんだ!」と思うかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
なぜなら、LoRAの学習に使われたデータによって、挙動がかなり違ってくるからです。 例えば、写真ベースで作られたLoRAをアニメ調のモデルで使うと、強度が高いと違和感が出ることがあります。 また、特定キャラに強く引っ張られすぎて、イメージが固定されすぎる場合も(Civitaiの「かめはめ波LoRA」とかが典型ですね)。
逆に、強度が低すぎると、せっかくのLoRAがほとんど効果を発揮しないこともあります。つまり、大事なのはちょうどいいバランスを見つけること!
湖乃美さんも、身をもって体験してくれています:
じゃあ、最適な強度はどうやって見つけるの?
答えはシンプル——試してみることです!
手順としては:
- LoRAを読み込む
- 強度1.0でイラストを生成してみる
- 「あれ?」と思ったら、0.05〜0.1くらいずつ下げて再生成
- 納得いくまで微調整!
これを繰り返していけば、だんだんLoRA使いとしての腕が上がってきます!
さて、次のポイントはさらに面白いですよ。 実は、LoRAは複数同時に使うことができるんです!
このブログに出てくる私のキャラたちも、 外見用LoRA+アニメ風仕上げLoRAの2つを組み合わせて生成しています。
組み合わせ方次第で、表現の幅がぐっと広がります! 例として、武志さんの「背教者」スタイル+武器LoRAを使った例を見てみましょう。
ご覧の通り、キャラLoRAがなければ武志さんとは全然違う見た目になりますし、武器も微妙に違っています。でも、「Weapon Enhancer」みたいな専用LoRAを追加することで、 剣の持ち方やデザインもバッチリ再現できるんです!
組み合わせるときのコツは—— どんどん試して、楽しく遊ぶこと! 新しい発見がきっとありますよ!
よくある落とし穴と注意点 #
たとえLoRAが「AI術師」としてのあなたの作業を劇的に楽に、そして楽しくしてくれるとしても知っておくべき注意点がいくつかあります。
LoRAは生成時にモデルに影響を与えるので、時として予想外の結果が起こることもあるんです。ここでは、まやちゃんに「よくあるトラブル」を紹介してもらいましょう!
見ての通り、よくある問題はこの3つです。
-
互換性のないモデルでLoRAを使うと、トラブルが起きる
LoRAは元になったモデル系列で使うことを前提に作られています。
違うモデルに使うと——
- まったく効果が出ない
- 画像がぐちゃぐちゃになる(線がギザギザ、色がおかしい、セピア調になる)
……などの問題が発生することがあります。 -
LoRA自体が「過学習」している場合がある
データに合わせすぎた結果、
- 全員が同じポーズ・同じ表情になる
- 元データのスタイル(例えば写真風)が漏れ出す
- 顔や手足の歪みが起きる
……といった違和感が発生する場合があります。 -
LoRAをたくさん使いすぎると、競合してしまう
どれくらいで「使いすぎ」になるかはLoRA次第ですが、
- 背景が意味不明になる
- 服装がめちゃくちゃになる
といった症状が出やすくなります。
これらは極端なケースですが、知っておくと対処が楽になるので、ぜひ覚えておきましょう!
なお、問題ごとの対応策もあります。
- 互換性問題だけはどうしようもありません(別モデルなので)。
- 過学習っぽいLoRAの場合は、強度を下げてみましょう(例:1.0 → 0.6)。
- 競合が起きた場合は、影響力が強そうなLoRA(たとえばキャラ用LoRA)から強度を少しずつ下げて調整してみましょう。
焦らず、あきらめず! これらを意識すれば、LoRAマスターまでもう一歩ですよ!
LoRAを使いたい!どこで探せばいいの? #
LoRAの基本を押さえたら、次に気になるのは…
**「どこで手に入るの?」**ですよね。
現在(この記事執筆時点)で、最大のLoRA配布サイトはCivitaiです。 検索フィルターを使えば、
- LoRAだけに絞り込み
- 使用中のモデル(SD1.5、SDXL、Illustrious/NoobAIなど)に対応したものだけ…と、簡単に探せます。
多くのページにはサンプル画像や、トリガーワード、推奨強度も書かれているので安心! (ちなみに、私のキャラ用LoRAもこっそり置いてあります…あ、あくまで参考に!)
また、tensor.artのような他のサイトでもLoRAを配布している場合がありますが、Civitaiと違って「ダウンロードできないモデル」も多く含まれているので注意してください。 (他にもサイトはありますが、私は基本Civitai派なので詳しくは語れません…!)
とはいえ、世界には数え切れないほどのLoRAが存在しています。 きっとあなたにピッタリのLoRAも見つかるはず! ぜひ、いろいろ探索してみてくださいね。
まとめ:LoRAはAI生成の頼れるパートナー! #
ここまで読んでいただければ分かるように、LoRAはAIイラスト生成において頼れる強力な味方です。不可能だったことが可能になり、使いこなせばイラストのクオリティもぐっと上がります。まさに、新しい世界への扉を開く存在――それがLoRAです!
もちろん、LoRAを絶対に使わなければならないわけではありません。 今使っているモデルだけで満足しているなら、それも素晴らしいことです。ですが、もし行き詰まりを感じたとき、少し違う表現を試したくなったとき、 あるいは単純に「面白そうだから!」でも――
いろんなLoRAを試したり、ミックスしてみたりして、ぜひ可能性を広げてください!きっと、新しい発見が待っているはずです!
最後に #
これにて、今回のLoRAチュートリアルは終了です! いやぁ、イラストやインフォグラフィック作成も含めて、思った以上に時間がかかりました…!それだけに、この記事が皆さんの役に立てば嬉しいです。 質問やリクエストがあれば、ぜひXで気軽に声をかけてくださいね!
それでは、また次回!
Einarでした。